法華宗のお経は何を読む?略要品の内容と経本の選び方・お勤めの始め方

# 法華宗のお経は何を読む?略要品の内容と経本の選び方・お勤めの始め方
法華宗のお経の基本は「法華経(妙法蓮華経)」です。法華宗本門流の日々のお勤めでは、方便品・如来寿量品・如来神力品の一部を読む「略要品」が用いられます。始める際は、菩提寺に合う経本と読む範囲を確認することが第一歩です。法華宗の作法は流派・寺院で異なるため、ここでは本門流の一般的な説明を軸に、経典の内容と自宅でのお勤めの準備を紹介します。
法華宗のお経は法華経が基本
法華宗がよりどころとする法華経の正式な題名は「妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)」です。日々のお勤めで読む漢文の経典として、鳩摩羅什(くまらじゅう)が漢訳したものが用いられています。法華経と妙法蓮華経は、ここでは別々のお経を指すわけではありません。
法華経・本門八品・略要品の関係
法華経は二十八の「品」、つまり章からなります。法華宗本門流では、そのうち第十五から第二十二までの「本門八品」を特に大切にしています。ただし、教義上大切にする範囲と、毎日読む範囲は分けて考えましょう。
お勤めには要品・広要品・略要品などの呼び方があります。日常向けの略要品には第二の方便品も含まれるため、「本門八品だけを順に短く読めばよい」と自己判断しないことが大切です。購入時には名前だけでなく、実際に収録された本文を確かめます。
宗派の成り立ちや本山との関係は、法華宗とは|日蓮聖人と本能寺の法脈を知るをご覧ください。
読経・唱題・勤行はどう違うか
一般に、お経を声に出して読むことを読経・読誦、お題目の「南無妙法蓮華経」を唱えることを唱題と呼びます。勤行(ごんぎょう)は、読経や唱題などを行うお勤めを指す言葉です。経本の本文を読む部分と、お題目を唱える部分を見分けると、流れを追いやすくなります。
お題目の言葉の意味は、法華宗のお題目の意味とは?南無妙法蓮華経を言葉ごとにやさしく解説で詳しく紹介しています。
略要品で読むお経とその内容
法華宗本門流の公式Q&Aでは、日常のお参りに用いる略要品として、次の三つの品が挙げられています。いずれも章全体ではなく、その一部を読む形です。表の内容は、各品の主題をつかむための大まかな説明です。
| 品の名前と読み方 | 内容の大まかな意味 | 経本で確かめる点 |
|---|---|---|
| 方便品第二(ほうべんぽん) | 仏の深い智慧と、人々を悟りへ導く教えについて説く | 読み始めと読み終わり、繰り返す箇所 |
| 如来寿量品第十六(にょらいじゅりょうほん) | はるか昔から人々を導く仏のあり方や慈悲を説く | 自我偈の位置と、指定された読誦範囲 |
| 如来神力品第二十一(にょらいじんりきほん) | 仏の力を示し、教えを受け継ぎ広めることを説く | 読む偈の範囲と、次に進む箇所 |
自我偈は如来寿量品の一部分
自我偈(じがげ)は、如来寿量品の後半にある偈、つまり教えを韻文で表した部分です。「お自我偈」と呼ぶ場合もあります。独立した別の経典ではないため、目次に「如来寿量品」とだけ書かれた経本にも収録されていることがあります。
「寿量品を読む」と教わったときは、章全体なのか、自我偈なのかを確認してください。名称が同じでも、読み始める位置が違えば、音声や周囲の読経と合わなくなります。
三つの品のほかに経本に載るもの
略要品のお勤めには、お題目に続いて「此経難持(しきょうなんじ)」「以要言之(いようごんし)」を読む形もあります。前者は見宝塔品第十一、後者は如来神力品第二十一の一部です。経本には、勧請文や回向文などが収められている場合もあります。
一般に、勧請は仏・菩薩などをお迎えすること、回向はお勤めの功徳を故人や人々へ向けることをいいます。目次に載る項目がすべて毎回必要とは限らないため、本文・お題目・回向文のどこまでを日常のお勤めとするか、寺院の案内に合わせましょう。
法華宗の経本を選ぶときの判断基準
経本は「法華経と書いてある」「文字が大きい」という理由だけで買わず、菩提寺で使うものを確かめてから選ぶと迷いません。菩提寺とは、一般に、ご家族が先祖の供養などをお願いしているお寺です。手元に古い経本がある場合は、買い替える前にそれを見てもらいましょう。
| 確認項目 | 選ぶときの基準 | 避けたい選び方 |
|---|---|---|
| 宗派・流派と発行元 | 菩提寺が案内する経本名・発行元に合う | 「日蓮系なら同じ」と表紙だけで選ぶ |
| 本文の収録範囲 | 略要品など、自分のお勤めに必要な箇所がある | 全文を収めた本なら日常用にも最適と考える |
| 読み仮名と文字の大きさ | 漢字だけでなく振り仮名も無理なく読める | 本体の文字の大きさしか確認しない |
| 開きやすさ・持ちやすさ | 自宅で置く、手に持つなど使い方に合う | 小ささや装丁の好みだけで決める |
| 用途 | 読誦用の本文か、意味を学ぶ解説書かを見分ける | 現代語訳の解説書をそのまま勤行用にする |
通販で探す場合は、表紙に加え、目次・本文の見本・奥付を確認します。奥付は、巻末などにある発行元や発行時期の情報です。商品名が似ていても内容まで同じとは限りません。見本がない場合は販売元に確認し、経本名と発行元を菩提寺へ伝えてください。
経本の入手先は、寺院での取り扱い、宗派の出版物、仏具店などが考えられますが、取り扱いの有無や価格はそれぞれに確認します。先に購入し、後から別の経本を用意し直すことを防ぐためにも、「日常のお勤め用を一冊選びたい」と用途を伝えましょう。
菩提寺に確認してお勤めを始める手順
初めて尋ねるときは、「何を読めばよいですか」だけでなく、家で使う経本と生活上の事情を一緒に伝えると、具体的な案内を受けやすくなります。次の順で準備してください。
- 家族に寺院名と宗派・流派を確かめ、受け継いだ経本があれば表紙・目次・奥付を確認します。
- 自宅で毎日お勤めしたいのか、法要の際に一緒に読みたいのか、目的を伝えます。文字の見えにくさや長く座れない事情があれば添えます。
- 使う経本を確認し、読み始め・読み終わり・繰り返しの箇所を、同じ本を見ながら教わります。
- お題目を唱える位置や回向文の扱い、朝夕で内容を変えるか、時間が取れない日のお勤めを確認します。
- 教わった内容をメモにまとめ、まずは案内された範囲をゆっくり練習します。迷った箇所はページと行を控えて、次の機会に尋ねます。
例えば、「家にこの経本があり、自宅で朝のお勤めを始めたいです。読むページと、途中で繰り返すところ、お題目の後に読む箇所を教えていただけますか」と伝えると、確認事項が明確です。別の版ではページが変わるため、ページ番号だけでなく、冒頭と末尾の言葉も控えておくと役立ちます。
一般的な勤行の構成には、礼拝、勧請、読経、唱題、回向などがあります。ただし、並び方や省略の可否を全国共通の手順にはできません。自分用のメモには、寺院に確認した順序を書きましょう。
仏壇や仏具の配置から整えたい方は、法華宗の仏壇の飾り方は?本尊・位牌・仏具の配置と整え方をやさしく解説も参考にしてください。
お経の読み方でよくある失敗と練習の工夫
漢字を普段の音読みで読んでしまう
お経では、日常の言葉と異なる読み方が使われます。法華経にも呉音による読みが多く、知っている漢字でも推測せず、経本の振り仮名を確かめることが基本です。意味を調べるときの読み方と、声に出して読むときの読み方を混同しないようにしましょう。
音声や動画だけを手がかりにする
読経の動画やCDは、声の出し方や区切りを知る助けになります。ただし、同じ法華経でも流派や収録範囲が違う場合があります。再生回数や長さだけで選ばず、読誦している寺院・宗派と、手元の経本に合うかを確認してください。
練習では、確認した教材の短い一区切りを聞き、対応する本文を見てから声に出します。合わない箇所が出たら速度だけの問題と考えず、本文の範囲や繰り返しの違いを調べましょう。僧侶の声を録音したいときは、先に許可を得てください。
長く読むことを目標にして続かなくなる
最初から全文や長いお勤めに取り組む必要があると思い込むと、負担になることがあります。短いお勤めを希望する事情を伝え、どの範囲から始めるかを相談してください。短いことだけを理由に供養の意味が小さいと考えず、教わった内容を理解しながら続けましょう。
よくある質問
法華宗のお経は毎日、法華経の全文を読むのですか?
毎日全文を読むことを一律の決まりとは考えません。法華宗本門流では、日常のお参りに略要品を用いる形が案内されています。自宅での読誦範囲は、菩提寺に確認してください。
お経が読めないときは、お題目だけでもよいですか?
法華宗本門流の公式Q&Aでは、まずお題目を唱える習慣をつけ、その後に少しずつお経を読むことが勧められています。初めからすべて読める必要はありません。すでに寺院からお勤めを教わっている方は、難しい箇所を具体的に伝えて相談しましょう。
朝夕のお勤めは何分、何回行えばよいですか?
所要時間は読む範囲や速さで変わり、回数や朝夕の内容も流派・寺院により異なります。インターネットで見つけた回数を全員の決まりにせず、続けられる時間帯や体調を伝えて確認してください。
日蓮宗の経本を法華宗のお勤めに使えますか?
同じ法華経の本文を含んでいても、収録箇所や勤行の構成まで同じとは限りません。すでに持っている場合は買い替えを急がず、表紙・目次・本文を菩提寺に見てもらいましょう。使えるかどうかは、案内されたお勤めに必要な内容がそろっているかで確かめます。
菩提寺が分からない場合は、どこへ聞けばよいですか?
まず家族に、以前の法要をお願いした寺院や経本を受け取った先を尋ねましょう。それでも分からない場合は、法華宗の寺院に、日常のお勤めについて相談できるかお問い合わせください。当寺で使う経本や読経の案内についても、事前にお問い合わせください。
法華宗のお経・供養についてのお問い合わせ
太平寺は、大阪市住吉区にある法華宗の寺院で、京都の本能寺を大本山とします。当寺で用いる経本や読む範囲、経本の取り扱いについてはお問い合わせください。お電話の際に、手元の経本名と「日々のお勤めを始めたい」などの目的をお伝えいただくと、確認内容を整理できます。
電話:06-6672-8891
受付:平日・土日祝 9:00-21:00
所在地:大阪市住吉区上住吉1-3-27
交通:南海高野線「住吉東」駅から徒歩7分